Osaka PFAS

大阪PFAS汚染と健康を考える会に寄せる思い

「大阪PFAS汚染と健康を考える会」への期待 

 我々がPFASの代表でありヒトへの発がん物質であるPFOAの安威川―神崎川―淀川水系で見出したのは2002年の事です。汚染源はダイキン工業。汚染は、大阪湾を経由し、阪神間の浄水を賄う柴島浄水場を汚染し、阪神間の浄水を汚染していました。過去の集めた血液を分析すると、汚染は1970年代にまでさかのぼることが明らかとなりました。この間、ダイキン工業は、大阪府と摂津市と共同し事実を隠蔽し、国も不作為を続け、マスコミも冷たく汚染は忘れられるのだろうかと心配していました。こうした中、私も顧問として参加させていただいている「大阪PFAS汚染と健康を考える会」が2023年秋から始めた大阪の血液検査は、確実に運動を広げ、地域の汚染の認知度を上昇させました。今後この会の活動が、地方自治体、国を動かし、住民の不安に寄り添う政策を実現することを期待しています。

公益社団法人 京都保健会 社会健康医学福祉研究所長
京都大学名誉教授 小泉 昭夫

「大阪PFAS汚染と健康を考える会」会発足へのメッセージ

 私が京都大学の小泉昭夫先生の研究室で研究を始めたのは2002年でした。全国の河川のPFASを調査した中でもっとも高いPFOA濃度を記録したのが安威川でした。下水処理場の放流口で最大濃度であり、流域にある事業所ではPFOAを用いてフッ素樹脂製造を行っているダイキン工業淀川製作所は関連が強く疑われる場所でした。水質調査のほか、大気中PFASなどが他地域より高濃度あることも調査の結果明らかになりました。血液中PFOA濃度も大阪や兵庫、京都でも高く、摂津市に隣接する東淀川区での調査でもこの特徴は明らかでした。水道水中の濃度も2003年当時の大阪市では50 ng/Lほどと現在の目標値に等しいものでした。これは摂津市だけでなく、淀川の上流からの汚染もあったためです。これらの汚染は減少したものもあれば現在でも継続しているものもあります。さらには調査の結果、汚染が発覚する場所もあります。大阪において、市民がPFAS調査を主導し、健康問題を考えていく活動がはじまることは非常に重要なことであると思います。このような環境問題では行政による調査でしかほとんど実態が分からないなか、市民自身による科学的調査が行われ、環境汚染を究明していくことは市民が、主体的な立場で関わる上で大きな基盤になると考えています。このような活動に、研究者として協力していくことも必要なことでありますし、社会的な責務の一つと考えております。「大阪PFAS汚染と健康を考える会」が地域のPFAS問題を、ひいては全国のPFAS問題を動かしていくことを願って已みません。

京都大学医学研究科 准教授 原田浩二